お百姓さんと釣り師

米代川に鮎釣りに行ったときのこと、川沿いの田んぼのあぜ道わきの草地に車を止めて準備していたらおばあさんが畑仕事にやってきた。

こんちは〜 車おがせでけねすか〜
って言ったら、おめさんどっから来たのって聞いてきた。
おれっか。いわでがらすー 
 そしたら  あ〜?いわでに鮎いねんだが?って聞いてきた。
んーいだごだあいだどもこっちのほーいっぺつれるがど思ってー
んーこごいらさくるのイワデど東京のやずばりだ・・・だども・・・
ゴミおいでぐし、そごいらじゅうさクソしてだめだー
おばあさんはおいらにおめーもがって顔して言った。

お、俺も百姓だがらそんたなごどさねがらすー  って言って缶ジュースをあげた。
そしたらおばあさんは
 おら一所懸命かせんでるのにはだげあらされだぐね・・・おめもわがるべ?
しわくちゃな顔でおいらに言った。
ん〜んだな〜俺もそー思うどぎあるー俺だずのごども何ぼが考えでけろじゃーって

そう あんだだぢのために草刈ってやってるのになんでゴミおいでぐの?
だったらもー来んなって思うごとあるもんな

そこに暮らしている人がいる事を釣り人も覚えていてほしい・・・
百姓釣り師の心からの思いである。

種鮎

おいらが鮎釣りを始めたころ、10年位前のことだったと思う。
6月30日にポイントそばの駐車場に泊り、7月1日を迎えた朝のことだった。
そろそろ種鮎を買いにいこっか〜、うん、4時だし種屋さんもあいたとおもうから行くべか。
そこへ1台の軽トラがやって来て止まったのだ。
種鮎ある?ながったら売るよー
丁度いいからおいらたちはそのおじさんから種鮎を買うことにした。
一匹500円、ん、1人2匹?4人か8匹ね4000円はいよ!ってビニール袋にはいったあゆを
我々の前において、これ10匹入ってるけどサービスすっからそれとカジカもサービス。投網に
いっしょにはいってきたから。天然ものだよー早く始めなさいよ、何してんの?
だってまだ5時前だよーダメじゃん。
ナニ言ってんだー解禁は7月1日だー夜が明けたらいいべさー俺監視員だから間違いねー
ンじゃ、頑張ってー鮎はそこいらじゅうさいっから。  
 と言って去っていった。
おいらたちの周りにほかの釣り人もまったく居ない静かな解禁日の朝だった。

川辺の出来事 No.1